2023年夏話題の映画といえば、宮崎駿監督が10年ぶりに手掛けた「君たちはどう生きるか」。
前情報一切なし!という異例対応は監督からの「先入観なしで見てほしい」というメッセージが込められています。
どんな映画だったのかめちゃくちゃ気になる~~!
でも、たしか「君たちはどう生きるか」の漫画が数年前に流行りましたよね…?
たしかこの漫画版も原作小説があったはず。
いったい映画とどう関係しているのでしょうか?
原作との違いはあるのかが気になってしまいますよね!
こちらの記事では、
君たちはどう生きるかの映画の原作との違い、
小説との違う点や映画の元ネタはどこからきているのか、について解説しています!
※映画の内容の原作あらすじ、小説や元ネタについての内容も含みますので
見たくない方はご注意くださませ。
君たちはどう生きるか映画原作との違いは?
原作・脚本ともに宮崎監督が手がけている『君たちはどう生きるか』
原作と表記していますが、実はオリジナル作品です。
宮崎駿監督は、2013年「風立ちぬ」以後、長編アニメからの引退を表明していました。
しかし2017年に引退を撤回し2018年に短編『毛虫のボロ』(2018年)を発表後から、今回の作品の製作に取り組んでいます。
引退撤回するほど、どうしても後世に残したいメッセージがこの作品には込められているのでは…?
こちらでは映画『君たちはどう生きるか』の原作との違いに関して解説していきます。
映画『君たちはどう生きるか』原作は?
映画「君たちはどう生きるか」はオリジナル作品です。
ですので、原作は存在しませんでした!
ですが調べていると、宮崎監督の生い立ちと重なる部分があったのでそこを絡めながら映画の概要について解説していきます!
時代背景は太平洋戦争中の1944年。
空襲で入院中の母を亡くした眞人達は母方の実家へ疎開します。
学校では裕福さから周囲になじめず孤立。新しい母にもなじめず、つわりで苦しむ母にそっけない態度をとってしまいます。
ある日母の夏子が失踪し、半鳥人のアオサギといっしょに夏子を探すことにーーー。
夏子を救う旅を通じて、自身の悪意と向き合い成長した眞人たちは東京へ帰っていくところで物語は終わります。
へ~~主人公眞人の生い立ちや背景は宮崎監督がかつて幼少期、自身が経験してきたことと酷似していたんだね…驚き!
君たちはどう生きるか映画小説との違いや元ネタは?
原作の背景には宮崎監督の生い立ちが重ねられていたことがわかりましたね。
タイトルである『君たちはどう生きるか』に関しては、映画を見てもわかるように、1937年吉野源三郎の著書の小説からきていることがわかります。
漫画版で2017年に出版されこちらも大ヒットしましたね。
実際監督にとってこの『君たちはどう生きるか』という言葉は再び映画を作る原動力となるほどのインパクトを残す言葉になったようですが、果たして小説はどのような内容なのでしょうか?
吉野源三「君たちはどう生きるか」小説との違い
小説の中身は映画本編とは全く関わりはありません!
生前の母の形見としてこの小説が劇中にはでてきましたが、ちらっと映る程度でしたね!
なので、小説との違い、という部分で言うと、「完全に別物」と言えます。
ですが、監督の伝えたかったことは、実はこの小説「君たちはどう生きるか」に散りばめられていたのではないかと思います。
吉野氏著の小説「君たちはどう生きるか」は、叔父との交流の中で、主人公コペルが物事の見方や考え方を学び成長していく物語になっています。
特に注目したい部分は、主人公が、友人がいじめられたら助ける、という約束をしていたにも関わらず助けられず裏切ってしまうエピソードです。
罪悪感いっぱいで友人に向ける顔がなく、コペル君は学校を休んでしまいます。
そのとき叔父さんは、
人間の苦しみとは、本来あるべき状態から外れたときに生じ、
人間の偉大さとは、本来あるべき状態へ向かうことにある
と教えます。
映画中で、眞人は「悪意も持ち合わせている人間」と描かれていますが、
このような宮崎氏自身の幼少期のエピソードや小説での罪悪感の話から、着想を得て描かれているのでは、と推測します。
人間誰しも少なからず、罪悪感を感じることはあるよね。。
清廉潔白な人なんているのだろうか…!
またもう1点注目したい部分が、小説の伝えたかった言葉です。
小説版「君たちはどう生きるか」では、自分の頭で考えて行動し、人類へ貢献し、人間らしく生きること、の大切さを問いました。
主人公眞人は、アオサギと夏子を救う旅を通じて、自身の悪意に向き合い、1つの決断をします。
「秩序の保たれた世界を保つのではなく、悪意とも共存して生きていく」
この、既存の考えに対するアンチテーゼとも言える決断こそが、「自身にとって大切なものは何なのか考え、行動する」という小説で伝えたかったことを体現していたのではないだろうかと感じました。
君たちはどう生きるか元ネタはある?
オリジナル作品である映画「君たちはどう生きるか」ですが、舞台背景は宮崎氏の生い立ちから着想を得ていることがわかりました。
しかし、実は原作ではないのですが「原案」ではないか、とされる元ネタがあるので紹介します。
それがジョン・コナリー作「失われたものたちの本」です。
第二次世界大戦下のイギリス。本を愛する12歳のデイヴィッドは、母親を病気で亡くしてしまう。孤独に苛まれた彼はいつしか本の囁きを聞いたり、不思議な王国の幻を見たりしはじめる。ある日、死んだはずの母の声に導かれて、おとぎ話の登場人物や神話の怪物たちが蠢く、美しくも残酷な物語の世界の王国に迷い込んでしまう。元の世界に戻るため『失われたものたちの本』を探す旅に出るが……。少年の謎に満ちた旅路と、困難を乗り越えて成長する姿を描く異世界冒険譚。
失われたものたちの本 – ジョン・コナリー/田内志文 訳|東京創元社 (tsogen.co.jp)
舞台の元がイギリス→日本になっているだけで、あらすじも非常によく似ているのがわかります!
大叔父やアオサギ、インコに対応する人物もでてくるため、完全オリジナルと言っていましたが読んでみると
「ん?これ、原作やん…」という気もします。(笑)
興味あるかたは読んでみるとより「君たちはどう生きるか」への理解が深まるかもしれません。
宮崎氏はこちらの文庫本帯の推薦文を書くくらい、幼少期に読んで感銘を受けた作品のようです。
宮崎氏が自身の生い立ちと重ねて読んでいたので余計に想い出深い作品なのかも!
君たちはどう生きるか映画原作との違い・小説や元ネタまとめ!
いかがだったでしょうか?
君たちはどう生きるか映画原作との違い・小説や元ネタについて今回はまとめてみました!
映画「君たちはどう生きるか」に原作はありませんが、宮崎氏が幼少期に読んで影響を受けた、
吉野源三郎「君たちはどう生きるか」小説
ジョンコナリー「失われたものたちの本」
に自身の体験を重ねて作られた作品なのだということがわかりました。
「君たちはどう生きるか」の漫画がベストセラーとして話題になったのが2017年。
宮崎監督が引退撤回をしたのも2017年。
この漫画が再びフューチャーされたことがきっかけで映画界に復帰されたのかもしれませんね!
映画を一度見た方も、原作も読んで再度映画を見返すとより理解が深まるかもしれません。
嚙めば噛むほど味がでるジブリ作品を楽しみましょう!